Smart Processing Society for Materials, Environment & Energy
>>>>会長挨拶<<<< 日頃はスマートプロセス学会の活動に対して、会員皆様のご高配・ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。 本会は1975年に発足しました高温学会(社団法人認定は1977年2月)を原点に、2012年に現在の名称に改組・改称されました。 スマートプロセス学会の目的は、定款に謳われておりますとおり、「高温から低温ならびに重厚長大から軽薄短小に至る広範囲の製造および接合などにおける先進的および環境・エネルギーに配慮した革新的ものづくりプロセスに関わる学術・技術の普及と進歩発展に寄与すること」にあります。非常に幅広い科学技術分野をカバーすることになりますが、多様な人材と知の交差は科学技術の新機軸を生み出すために極めて効果的です。本会の強みは、幅広い科学技術分野をカバーしているがゆえ、異分野融合的な研究・開発を探求するとともに、そのために必要な人材を育成する土壌が自然と育まれているところにあります。ものづくりプロセスに関わる学問と異分野技術の交差、そして、それらの情報交換の場を提供し、もって未来に輝く豊かで安全なスマート社会に資することが本会の夢であります。 本会の掲げる目的、そして夢は、科学技術の新機軸の創出を期待されている現代の潮流に乗っているものと確信しています。しかしながら、益々の発展と展開をはかるには継続的で弛まぬ改革の精神と努力が必要であります。会員の皆様には、本会の更なる発展のために、より一層のご支援とご高配を賜りますよう、心からお願い申し上げます。
2025年学会誌1月号掲載「學海」 未来の持続可能なスマート社会の実現に向けて 田中 学 昨年、2024年のノーベル平和賞に日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が選ばれた。世界で唯一の戦争被爆国である日本の一国民として、被団協とその関係者の皆様の永年に亘る多大なご尽力と大変なご苦労に思いを馳せ、心からの祝福の気持ちとともに世界平和を願う人類の光を感じた。ウクライナや中東など世界各地で絶え間なく紛争が発生し、戦禍とその傷跡は世界に広がりつつある。この度のノーベル平和賞は、人類がかつてない程の紛争に対する恐怖と核兵器の脅威を感じている表れであろう。このような時代であるからこそ、平和の下、健全な環境で学術、技術、芸術による文化発展のため、人と人が相互に敬意を払いながら紡ぎ合い生きる大切さと、そのことが持続可能な社会の実現に繋がるという思いをあらためて強く感じた。 2024年の文化活動で世界に大きな感動を与えたのはスポーツである。パリ2024オリンピック・パラリンピックの開催と、大リーグの大谷翔平選手の活躍である。オリンピック・パラリンピックでは、長年に亘る弛まぬ努力を背景に、磨き上げられた世界トップクラスの力と技がぶつかり合う美しさに感動し、その勝負の明暗の厳しさに感銘を受けた。大リーグでは、1シーズンのホームラン50本、50盗塁の「50-50」を大リーグ史上初めて成し遂げた大谷翔平選手の大偉業に世界が沸いた。その記録を「54-54」まで伸ばし、指名打者専任でのMVP 受賞は大リーグ史上初の快挙となった。日本人が世界の大舞台で超人のように活躍する姿は痛快であり、経済的に低迷して閉塞感が漂う日本社会に勇気を与えてくれたように思う。 さて、今年に目を向けると、4月13日からEXPO2025大阪・関西万博が開催される。メインテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」であり、持続可能な開発目標(SDGs)達成への貢献を目指したものである。世界中の人々が大阪に集い、世界が抱える課題を共有しアイデアを交換して、その課題解決のために共創する場「未来社会の実験場」となる。大阪・関西万博がSDGsを達成するためのプラットフォームになることが大いに期待される。 本スマートプロセス学会は、昨年、環境・エネルギープロセス部会にグリーンエネルギー開発研究委員会を設置した。素材から製品化の過程で生じるロスをバイオマス資源として捉え、革新的な固体バイオ燃料化技術を開発することが主な目的である。また、アディティブ・マニュファクチャリング部会、レーザプロセス部会、エレクトロニクス生産科学部会などの多様な活動も並行して推進し、地球全体の包摂的かつ循環的な社会やカーボンニュートラルの実現を目指し、目に見える形でSDGs達成に貢献したいと考えている。1975年に高温学会として発足した本会は、今年、2025年で創立50周年を迎える。本会は非常に幅広い科学技術分野をカバーしているため、その活動において多様な人材と知の交差が自然に育まれている。それは、本会の活動自体を「未来社会の実験場」として捉えることができる。SDGsが達成された未来のスマート社会、その実現に貢献できるよう力強く前進し、本会にとって次の50 年に繋がる記念の一年にしたいと考えている。 末筆ながら、会員の皆様にとって良い一年になりますよう、心よりお祈り申し上げますとともに、スマートプロセス学会の更なる発展のため、より一層のご支援とご高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。